快適な眠りを考える提案スペース
眠りとくつろぎテーマにしたお店が伏見にあります。「ねむりの蔵」というそのショップでは、カフェや寝具の体験スペースもあり、気に入った商品を購入することもできます。運営しているのは大正時代から寝具や座布団の製造を行ってきた大東寝具工業株式会社。昔ながらの手法で職人が1つずつ丁寧に仕上げた寝具を、旅館やホテルなどに納入していましたが、現社長の大東利幸さんは、現代の暮らしに寄り添う寝具をという思いからフローリング用の座布団、クッション、座椅子などパーソナルな商品開発をはじめ、さらには自社工場にショールームを兼ねた「ねむりの蔵」をスタートさせました。 「寝具は眠りの道具です。それなら眠りを売ることを考えていかないといけない。弊社の商品でぐっすりとよく眠れたという実感を感じていただけたら、我々がお届けするものが役に立ったということですから。」と語る大東さん。「ねむりの蔵」でいろいろ試してみて、自分好みの寝具をオーダーしたり、睡眠健康指導士の資格を持つスタッフの方にいろいろ相談したりすることもできるそうです 。
安心と着心地の研究は伝統製法へ
睡眠に悩む人に役立つ製品作りを考える大東さんは、個人的な経験からも優れた商品を生み出しています。それは我が子が一歳の頃、やっと眠りのついた後もアトピー性皮膚炎で身体をかきむしる姿を見て、なにか肌に優しいものでくるんであげたいと、いろいろな素材を研究し始めます。そこで出会ったのが、「和晒(わざらし)」という技法を用いた綿のガーゼです。
綿は不純物を取り除く晒という工程が必要で、一般的には薬剤を使って40分ほどかける洋晒という方法が使われています。大東さんが見つけた和晒は、水でじっくり4日間掛けて不純物を取り除くというもの。生地への負担が少ないため、ふんわりとした肌触りに仕上がるこの技法が、我が子の肌にもいいのではないかと考えたのです。
けれども手間と時間とコストのかかるこの技法を手がけている工場は日本に10軒に満たないほどしかありません。また非常に柔らかい和晒のガーゼ生地は、裁断や縫製にも専門的な技術が必要でした。こうした研究の成果から「京和晒綿紗(きょうわざらしめんしゃ)」と名付けたパジャマやベビー服が生まれました。柔軟剤を使わずにふっくらとした柔らかさのあるガーゼ生地を夏用は汗を吸い取りやすい2枚重ね、冬用は保温性に優れた3枚重ねにした優れものです。 不純物がゼロ、ホルムアルデヒドなどの化学物質もゼロ、乳幼児が口に含んでも大丈夫という仕上がりです。
お客様の声で進化する
こうした品質にこだわった製品は、国内外の展示会に出展した際にも注目されやすく、イギリスなどでの販売実績にもつながっています。 また、いち早くインターネット通販に取り組んだことで、業績だけでなくお客様との直接のやりとりから製品のブラッシュアップにつながることも多いといいます。こうしたお客様とのインタラクティブな関係作りの大切さに気づいたことが、先のショールーム「ねむりの蔵」にも生かされているといえそうです。
大東寝具工業株式会社
〒612-8238 京都市伏見区横大路下三栖山殿66-2
TEL 0120-557-017