世界が認めた京都のバッグ
ニューヨーク近代美術館(MoMA)ミュージアムショップから販売されているトートバッグ「ougi」。モダンなデザインなのに和のテイストを感じさせるそれは京都の染色作家の手によるブランドのものでした。
KOSHOを主宰する小川光章さんは、染色工房を経て独立し、伝統の染織技術を生かしたデザインと染色、自然素材を生かした布アートに取り組んできました。麻を使ったインテリア作品をつくっていた頃、手描き染めの暖簾やタペストリーを気に入ったお客様から、染めを使った服やバッグの要望がありバッグ作りを始めたのがきっかけになって生まれたのが、扇をモチーフにした折りヒダのフォルムが美しいシンプルなバッグでした。
折りヒダが開くと内側の差し色がのぞくデザインは、独特な色と粋なセンスが際だっていて、2012年に初めて参加した海外の見本市でも多くのバイヤーを引きつけました。
人の五感に響くから言葉がなくても伝わる
「色」と「間」を生かした手から生まれてくるデザインを通して京都の魅力を発信したいという小川さん。ものづくりでもっともこだわっているのは、色の組み合わせを生かすデザインと、それを生かす素材。Ougiシリーズも最初の試作では麻を使っていましたが、倉庫に保管してあった帆布を使ってみたところ、これがしっくりきたのだとか。
修業時代に学んだ京友禅の技術をベースに、きものからインテリア、さらにファッションへ広がり、使う素材も絹から麻、帆布やデニムなど多岐にわたります。軽やかにジャンルを超えて発想する小川さんがこだわるのは、人の手から生み出されるものづくり、人の五感に響くものづくりです。ougiバッグが海外でも高い評価を得てショップに並ぶのは、この小川さんのこだわりが言葉を超えて伝わるからでしょう。
光章
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